TEL.011-709-1717
まずはじめに,このサイトをご覧の皆さんの多くは放射線治療に関しての情報を得ようとしている方という前提のもとに述べます.病気の詳細は、様々なサイトがありますのでそちらを参照ください。
中枢神経というのは脳と脊髄を合わせたものを指しますが、腫瘍の治療という点では脳と脊髄に加え、骨や硬膜などの神経の周囲組織の腫瘍もこれに含まれます。
中枢神経腫瘍の治療が他の組織(肺や肝臓など)の腫瘍の治療と異なるのは、中枢神経は組織が損傷してしまうと働き(機能)の回復が期待できないという点であります。
ですから、たとえ良性とされる腫瘍であっても神経の機能が損傷されないよう治療が必要とされることが少なくありません。
中枢神経腫瘍でも治療法として外科手術・放射線治療・化学療法があり、これらを単独であるいは組み合わせて治療を行います。
よって、中枢神経腫瘍の治療では腫瘍に特化した外科治療技術・放射線治療に必要な専門的知識・抗がん剤に関しての知識を有する医師あるいはチームによる治療が望まれます。
治療方針として放射線治療が選択された場合、放射線治療の効果を決めるのは当てる放射線の強さ・範囲・回数となります。
つまり、治療装置が異なっても、これらが同じであれば得られる結果は同じことになります。では、装置の違いは何なのでしょうか?簡単に言えば同じ強さの放射線量を当てるためにかかる時間の違いと当てる範囲を決める工夫の違いとなります。
ここで重要なのは、腫瘍を制御するという癌治療としての観点と神経機能を回復あるいは維持させる神経治療としての観点の両方から最適な放射線量・照射範囲・照射回数を決めます。
最後に、当院での放射線治療では、腫瘍の種類ばかりではなく、腫瘍の位置や個数、患者さんの状態や治療に対する希望などをトータルに勘案し、個々の患者さんに最善と思われる治療を提案します。さらには、患者さんを支える家族の方も含めた精神的なサポートも考慮した診療・ケアを行っています。
当クリニックでは治療精度を高めるために、前立腺に金のマーカーを植込み、そのマーカーにより毎回治療前に前立腺の位置を確認しながら放射線治療(IMRT)を行います。
IMRTとは?
強度変調放射線治療といいます。
正常組織の中でも特に放射線に弱いリスク臓器(消化管など)という部分があります。リスク臓器に近いところに腫瘍ができた場合、これまではあまり強い放射線を当てることができないため、十分な治療効果が得られなかったり、逆に副作用が強く出てしまい後遺症が残ることもありました。
これは、通常の放射線治療の場合、一つの方向からの放射線のビームの束は一定の形(通常は四角形)で、更に一定の強さで当てることになります。
ですから、効果を優先するとリスク臓器にも強い放射線が当たることになり、安全を優先すると効果は不十分となります。最近になり、このような危険を避ける目的で一方向からのビームの束の中で放射線の強さを変化させて危険な臓器に近い方は弱く、逆に遠い方は強いビームを当てることを可能にするIMRTという方法が多く用いられ始めています。
※下図の白黒が放射線の強度を示しています。
①一般的な外照射は腫瘍に一様に照射されます。
②IMRTは腫瘍内の強度を変えて照射します。
治療対象となるのは、原則的にがんが前立腺被膜内にと止まっている限局性がんの患者さんです。
したがって、基本的にはMRI検査で前立腺被膜外精嚢(せいのう)浸潤などの局所進行の所見がなく、さらにがんの悪性度(グリソン・スコア)が6ないし7点以下、治療前のPSA値【前立腺特異抗体値】が20ng/ml以下の患者さんがもっともよい適応となります。
さらに最近、治療精度の向上に伴って、がんが前立腺被膜の外や精嚢へ浸潤を示したような局所進行がんの患者さんに対しても、当クリニックで行っているような強度変調放射線治療
(IMRT)に内分泌療法(抗男性ホルモン治療)を補助療法として併用することで良い治療成績が得られており、根治手術が困難な患者さんに対しても適応できるようになっております。
利点
・退院のみで治療が可能(但し、金マーカー植込み時に2泊3日の入院が必要です)
・開腹手術と同等の治療効果が期待できる
・開腹手術のような麻酔や出血のリスクがない
リスク
頻度は少ないですが、副作用として頻尿や排尿障害、肛門炎、性機能障害を引き起こすことがあります。
上記は標準的な治療回数・期間の一例であり、症例により回数・期間の異なることがあります。
照射回数の違いは、治療後の製作用に影響を及ぼします。また、副作用にはすぐに障害が出現する急性期反応と数年後移行に出現する晩期反応とがあります。1回の線量、総線量(治療回数・期間)がそれぞれの反応に影響を及ぼします。当院では、脳疾患および体幹部のそれぞれの専門医師が、腫瘍の種類・位置・大きさ・患者さんの状態を考え適切な総線量と回数を決定しています。(難しい症例の場合は両先生で相談し決定)
治療回数・期間による不安がある場合は、それぞれの担当の先生にご相談して下さい
011-709-1717 受付時間(平日) 午前9:00~12:00 午後13:00~17:00 ※休診 / 土・日・祝祭日・年末年始(12月30日~1月3日)